友人宅でお泊り会をしていた。

なぜか子牛が居て、私の腹の上で爆睡していた。

明け方頃、私は微かに目を覚ましたが、子牛はどこかへ移動したようだった。

目を開いて探すのも億劫で、ただ音だけを聴いていた。

すると、参加者の一人がガサゴソと支度をしている事を悟る。

早く起きて支度をしている理由があるのだろうから、私は声を掛けずそのまま目を瞑っていた。

「パシッ」

何かを平手打ちする音。否、明らかに子牛を叩いた音がした。これは聞き捨てならない。

「今の音、何ですか。」

私は前置きも挨拶も無しに、彼女を問い詰めた。彼女は言い訳を含みながらはぐらかす。

しばらく問い詰めていると、彼女は折れて叩いた旨を白状する。支度中にじゃれてきて邪魔だった云々と。

当の子牛は、叩かれた事に気づいているんだか居ないんだかも分からないように呆けて、朝日の差し込む陽だまりに立っていた。

これは無益な正義だったろうか。


(舞台はそのままに物語が転回する)

襲撃があった。襲撃者は鋭い槍を持った男だ。

私達は、次第に奥の和室へと追い込まれる。

もうどこにも逃げようは無いのだけれど、最後のあがきとして押し入れに隠れようとする。

先行の二人が無事押し入れに隠れられた。あとは私が隠れるだけ。

だが、ギリギリの所で間に合わなかった。

押し入れの下段に滑り込むように入ったが、戸を閉めるに至らなかった。

案の定、襲撃者に見つかり、右の脛を刺突される。

ほかの二人もこれまでか、と覚悟を決めたが、襲撃者は二人に気づかずに部屋を去ってゆく。

反対側の襖から上段に隠れた二人は、うまく死角になっていたので気づかれずに済んだようだった。


あとがき

寝る前に猟犬について調べていた事が夢になる原因だったと思われる。

腹の上の子牛の絶妙な重さと温もりがとても心地よかった。

当牛が気にしてないならば、口論を吹っ掛ける必要は無かったのではないだろうか。

第三者としての正義と、当事者同士の正義。立場に寄る善悪についてのプロットを練っていた為に出てきたシーンだろう。

襲撃者編については、アクションシーンを考えていた事による発生だろうか。

妙に痛みが鮮明で、非常に不快でありながら、夢としての完成度の高さにうっとりしてしまった。

アクション範囲が住宅内という制約があったため、バトルアクションというよりはホラー系の逃走劇に近いようなものになってしまった事が残念。

襲撃者の立ち振る舞いなどがかっこよかったが故、場所に不釣り合いな様子だった。

いつかもっと広い舞台で彼と再戦したい。


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