捨てられる土か


 夜な夜なベランダに出現するベランダの妖怪とて、残土に関しては神隠しの対象外である。我々の専門は靴下やペンやヘアゴムや、買った覚えがあるのに見当たらない食糧だけであり、土という大層なものはさすがに無理がある。

 ちょうどいろいろな種が発芽しはじめて、この雨が上がればやっと春の気温になるという時に考えるのはやはり土の事だ。
ベランダの耐荷重・プランターハンガーの耐荷重・床材抜けの心配・排水性・保水性・pH・肥料分、そして土の処分。
昨年初めて捨てられる土でトマトを育てたが、土として良かったかと言われたらどうしても首を縦には振れない。

 これが昨年まで住んでいた家での激狭ベランダ園芸の全貌である。
ちょうど生協に袋のまま植えられて捨てられるトマトの土が売っていたので、興味本位で買ってトマトを育てていた。

 このトマトの土は最初はふかふかでよかったものの、水をやるうちに締め固まり、水はけも大変悪いようで、水をやってはやりすぎたかと後悔したり、様子を見ていたらカラカラになっていたり、いまいち土の機嫌を取りづらいものだった。

 あらかたトマトを食べ終えた頃の土は、どう見ても来年も使える状態では無かった。もとより一度で捨てるための商品なのだろう。小学校の朝顔を育てる授業よろしく、家庭でためしに野菜でもつくってみようかというピンポイント用途にぴったりな商品だ。

 この経験から、捨てられる土は四季のうちのワンシーズンで入れ替わるような鉢計画の場合にしか使用できないことが分かった。
 また、長期的に園芸を楽しみたい人にも不向きである。しかし、いつかは土を入れ替えたい時はやってくる。その時私達はどこに捨てに行けばよいのだろうか。

 土の処分についてネットサーフィンを続けていると、不用品業者か土回収専門業者に依頼するべきだという結果が得られる。
どちらも多少値が張るものの、通常捨てられないものが捨てられるのならばそれなりの対価は支払う価値があるだろう。
しかしどの情報でも書かれていない致命的な欠点がある。不用品業者は信頼してはいけないのだ。

 昔働いていた会社の社宅を出る時に、どうしてもゴミ出しの日程が合わず不用品業者に依頼したことがある。
口コミで高い高いぼったくりだと言われていることはどの業者も同じだが、価格は産業廃棄物相当の妥当なものだった。
しかし!なんと彼らはレンタカーのトラックでやってきたのだ。そしてもちろん一般廃棄物収集運搬業の表示も無い。
完全にしてやられたがもう退去までのスケジュールに余裕は無く、泣く泣く目をつぶってしまった。

 少なからず、産廃を出す側の仕事をしていたので軽く法規制は知っていたし、不用品業者は市の指定業者を選ぶべきだという事は知っていたが、少し事情があってすでに住所を移してしまっていたのだった。もちろん市外の者が市の施設を使用するわけにはいかない。本当に泣く泣くの判断だった。

 というわけで、不用品業者は市の指定業者でない限り使用しない方が良い事は明白である。
しかし、市の業者というものは大抵土など受け入れてくれないものだ。やはり手段としては土回収専門業者に依頼すべきなのだろう。

 となるとやはり、捨てられる土は手軽だが園芸を楽しめるわけでは無いのできちんと土を買い、いつかの後にしかるべき業者に回収依頼すべきなのだろう。

 ここでもう一つ懺悔しよう。また昨年まで住んでいた家の時に買った土の話だ。
そもそも大なり小なりの草花の何かしらは家にあるのが普通の状態だったので、少量であれば土の1袋はあっても問題は無いと思い土を買ったのだ。
買ったのはアイ〇スオー〇マの培養土だった。

 これがその土だ。
 Amazonで見るからにかなり高評価だが、微塵と大きすぎる黒土の塊と木片で構成されておりひどく水はけが悪い。
正直今すぐ捨てたいが、その辺に転がっていたサボテンの土と混ぜ合わせたら使えないことはない塩梅だったので使う事にしている。
さすがにずっとこのままで使うわけにもいかないので、シーズンの切り替わりの時に粒度別にふるいをかけ、野菜くずなどを集めてカルスNC-Rの力でふかふかに再生できないかとも考えているがさすがに気が遠い。

 こういった苦い経験があるため、苗が出来上がる間にもっと土の事を知ってうちの植生に合った配合のパーフェクト土ができたらなぁと思っている次第である。
 いまだ感覚でなんとなく園芸をしているだけなので、これからもっと知識を付けていきたい。


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